人工臓器
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陽イオン, 陰イオン染料による透析膜荷電性の評価
稲垣 王子西庵 良彦中川 清彦中西 裕治高光 義博藤田 嘉一
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1992 年 21 巻 3 号 p. 942-945

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抄録

現在血液透析に使用されている透析膜の中には, 膜表面に固定荷電を有し膜表面電位を形成していると考えられる膜があり, 荷電性染料でこれらの膜を染色することにより, 透析膜荷電性の評価を行った。透析膜としては, polyacrylonitrile(AN69), polymethylmethacrylate(B2, BK), polysulfone(PS), regeneratedcellulose(RC), hemophan(HE)膜を用いて, 陽イオン染料のmethylene blue(MB)と陰イオン染料のorange II(OR)による染色性を検討した。
MBは, 陰性に荷電しやすいスルホン基を有するAN69と, ポリマー内に一部スルホン基を有するB2膜を青染した。ORは, 陽性に荷電しやすい3級アミン基を有するHE膜を強く黄染した。他のBK, PS, RC膜は, どちらの染料にも強染されなかった。これらの染色状態は, 染着した色素量の定量成績とも良く一致しており, 荷電性染料による透析膜荷電性評価の有用性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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