慢性腎不全(CRF)患者血液透析廃液と血漿の、リンパ球幼若化反応に及ぼす影響を検討した。10/11例の透析廃液が、mitogen刺激リンパ球への[3H]thymidine取り込みを促進した。透析前血漿は健常者血漿(n=10)に比ベリンパ球幼若化を有意に促進したが、透析後血漿は健常者血漿と有意差がなかった。臨床の約1/20スケールの実験透析装置を用い、健常者およびCRF患者血液20mlを模擬透析した。CRF血液の実験透析廃液はリンパ球幼若化反応を有意に促進したが、健常者血液の透析廃液には活性が認められなかった。健常者およびCRF患者血漿を分子量3000の濾過膜で限外濾過し、濾液の作用を調べたところ、患者血漿濾液に有意な活性があった。この活性は100℃、40分の熱処理に安定であった。患者が服用中の薬物やクレアチニンには、活性がなかった。以上の結果から、CRF患者透析廃液中にリンパ球幼若化を促進する低分子性質が存在することが示唆された。