抄録
肝細胞培養系を利用する体外循環型ハイブリッド人工肝臓の実現のためには、高度の分化機能と高いviabilityを維持した状態での高密度灌流培養法の確立が不可欠である。また異種動物肝細胞の利用を考える場合、免疫学的問題の解決が必要である。ホローファイバー型モジュールは体外循環系への適用が容易である上に、ボアサイズの制限によりimmuno-isolationが可能である。このような利点を持つホローファイバー型モジュール内に、コラーゲンゲルを用いて肝細胞を高密度に組み込み(4x107個/2ml/module)、14日間の灌流培養を行った。アルブミン合成分泌能、尿素産生能は、静置単層培養法と比較してほぼ同等に機能維持された。アンモニア処理能は培養8日においても培養初日の機能の約43%が維持された。以上より、本培養システムは、体外循環型人工肝臓の実現に向けて大きく期待されるシステムであると考えられた。