人工臓器
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初代肝細胞のPUF/スフェロイド培養系を用いたハイブリッド型人工肝臓の開発
―アンモニア処理能力の評価―
井嶋 博之松下 琢船津 和守
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1993 年 22 巻 1 号 p. 171-176

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抄録
我々はポリエーテル系硬質ポリウレタンフォーム(PUF)孔内で形成・固定化させたラット肝細胞スフェロイドを、PUFごと縦型に積層充填したPUF/スフェロイド充填層培養装置(PUF充填率: 36%, 装置体積: 100cm3)を開発し、ハイブリッド型人工肝臓としての性能評価を行った。今回は特にアンモニア処理(尿素合成)活性に着目し、1mM-NH4Clを添加した無血清培地で検討を行った結果、細胞当りでは、4.28μmol/106cells/dayの尿素合成速度及び2.31、μmol/106cells/dayのアンモニア処理速度を、また装置体積当りでは1.53mmol/L-module/dayの尿素合成速度を有していた。このうち細胞当りの尿素合成速度は、生体内レベルと同等またはそれ以上の高機能発現量であり、また3mM-NH4Cl添加系での実験では、この活性が約1ケ月に渡って維持されたことから、このPUF/スフェロイド充填層培養装置はハイブリッド型人工肝臓のプロトタイプとして期待が持てるものと考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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