人工臓器
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浮遊培養により迅速形成させた肝細胞スフェロイドの実用条件下での安定固定化と機能発現
酒井 康行鈴木 基之
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1993 年 22 巻 1 号 p. 164-170

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抄録
浮遊スフェロイド形成後に固定化することによる人工肝モジュールの製作をめざし, スフェロイドの大量迅速形成法および安定固定化法について検討を行った. 大量形成については, 市販のスピナーフラスコを改造した培養槽での50mLの浮遊懸濁培養を行った. 肝細胞は約24-48時間で球状の凝集体を形成した. この凝集体を固定化したところ, 静置培養で形成させたスフェロイドと同様に良好な機能を維持したことから, 迅速形成させた凝集体は, スフェロイドであるといえた.
安定固定化については, ポリリジン上再付着・アルギン酸カルシウムゲル包括・コラーゲンゲル包括の3種の方法で, 迅速形成させたスフェロイドを固定化し, 機能発現を比較検討した. 高濃度ホルモンを含んだ無血清培地ではいずれも良好な機能維持を示したが, 血清濃度を増加させたり, ホルモン濃度を生理的濃度まで低下させたりした場合には, コラーゲンゲル包括が最も良好な機能維持を示した.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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