抄録
ハムスター・ラ島を移植することで感作した糖尿病マウスをレシピエントとして用い、アガロースマイクロカプセル化ハムスター・ラ島の生着期間に及ぼすアガロース濃度の影響を検討した。感作後14日目に、移植前20日間以上長期培養したマイクロカプセル化ラ島を移植した。レシピエントマウスの血漿中には、マイクロカプセル化ラ島移植日から50日以上に渡って、高力価の抗ハムスター・抗体が存在していた。マイクロカプセル作製に用いるアガロースの濃度を高めるとともに、マイクロカプセル化ラ島の生着期間は延長した。特に、7.5%濃度の高分子量アガロースマイクロカプセルに封入したラ島を移植した群では、6匹中4匹まで100日間以上血糖値が正常化した。種々のアガロースゲル中の免疫グロブリンG (IgG)の移動しやすさを電気泳動法を用いて評価した。マイクロカプセル化ラ島の生着期間は、アガロースゲルのIgGの拡散定数に反比例して延長することが明らかになった。