人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
新しいBioartificial Pancreas (血液灌流型)の作製方法および同種移植における検討
青松 幸雄中島 祥介金廣 裕道福岡 敏幸久永 倫聖吉村 淳中野 博重岩田 博夫雨宮 浩
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 22 巻 1 号 p. 186-189

詳細
抄録

光架橋性polyvinylalcohol (PVA-sbQ)と膵ラ島を組み合わせた血液灌流型Bioartificial Pancreas (BAP)を考案し、犬同種移植モデルでその有用性につき検討した。約7万~19万個の犬膵ラ島を10% PVA-SbQ溶液に混和後、人工血管壁に塗布、光照射により固着しBAPを作製した。この人工血管を膵全摘犬の腹部大動脈に端々吻合し、同種移植した(n=5)。移植前後に、血糖値が150mg/dlとなるようにinsulinを投与し、免疫抑制剤は投与しなかった。膵全摘後0.4ng/ml以下であった血中CPRは移植後0.6~1.3ng/mlと上昇した。移植前8~16U/dayであったinsulin投与量は移植後0~10UIdayとより少ない投与量で血糖値のcontrolが可能となり、組織学的にも拒絶反応は認められなかった。以上より、PVA-SbQを用いた血液灌流型BAPは免疫隔離能と共にインスリン分泌能を有し、その移植はI型糖尿病に対する有効な治療法となる可能性が示された。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top