人工臓器
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アセチルコリン受容体合成ペプチドを固定化した重症筋無力症治療用吸着器の開発
岡 樹一郎中路 修平高倉 孝一高守 正治
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1993 年 22 巻 1 号 p. 194-197

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抄録

重症筋無力症(MG)の病因物質であると考えられる抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体の内
AChとAChRの結合を阻害するブロッキング抗体を特異的に吸着除去する吸着器メディソーバMGの開発を行なった。ブロッキング抗体が標的とするAChRのαサブユニットのアミノ酸残基番号183-200に相当する部分をベースとした合成ペプチドをリガンドとして多孔性セルロースビーズに固定化した吸着剤を作製し、カラムに充填して吸着器とした。in vitroおよび臨床評価の結果、本吸着器はブロッキング抗体を選択的に吸着し、IgG、アルブミン等の血漿蛋白をほとんど吸着しないことが明らかになった。また臨床評価では副作用は観察されず、約80%の症例で種々の症状の改善が認められ、MG治療用の選択的血漿成分吸着器としての有用性が確認された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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