人工臓器
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各種血液透析膜における吸着タンパクの詳細研究
松井 則明中村 義弘安藤 亮一栗山 廉二郎小倉 三津雄芝紀 代子中川 成之輔
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1993 年 22 巻 1 号 p. 70-73

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抄録

6種類の透析膜の吸着タンパクを分析した。膜表面荷電はethylenevinylalcohol (EVAL)膜の陰性荷電が最も強く, DEAE cellulose (HE)膜は唯一陽性荷電を認めた。タンパク吸着量はHe膜で最も多く, polyethyleneglycol-grafted cellulose (PC)膜, cellurosediacetate (CA)膜では少量であった。吸着フィブリン量はEVAL膜, polymethylmetacrylate (PMMA)膜で多く認められた。2次元電気泳動では膜素材による吸着タンパクの種類が異なることが示された。イムノブロッティングではEVAL膜にのみHMWK, 第XII因子が認められ, 内因系凝固の活性化が示唆された。またEVAL, PMMA, CA膜ではフィブリノゲン抗体に反応する低分子のタンパクが検出され, プラスミン以外のプロテアーゼの関与が示唆された。電顕によりPMMA, 従来のcellulose (OC)膜では血小板の付着が顕著であった。PC膜は膜付着物が少量で, 蛋白吸着の面からも生体適合性にすぐれた膜と考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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