抄録
重症心不全に対する循環補助法として、埋め込み型補助人工心臓(VAS)の開発を行うとともにCardiomyoplasty (CMP)の基礎動物実験を行った。埋め込み型VASに対する9頭の成山羊を用いた慢性動物実験による検討では、最長14週間において安定した循環補助を行い得た。CMPについて、成山羊4頭を用いて広背筋のpreconditioning後CMPを施行し、急性期における循環補助効果を正常心にて検討した。広背筋非刺激時と比べ刺激時の収縮期肺動脈圧、右心拍出量、右心室駆出率は、有意差は認めなかったものの上昇および増加傾向を示したが、左心補助効果は認めなかった。埋め込み型VASは心機能の代行が可能であり、長期使用も可能であった。これに対しCMPは、その補助能力に限界があった。重症心不全に対しては、その病態に応じてVASあるいはCMPを適応すべきと考える。