人工臓器
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新しい医用材料アラミド・シリコーン樹脂の開発:気体透過性と血液適合性の検討
古薗 勉岸田 晶夫明石 満丸山 征郎宮崎 剛鯉沼 康美松本 竹男
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1993 年 22 巻 2 号 p. 370-375

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抄録

アラミド・シリコーン樹脂(PAS)は芳香族ポリアミド(アラミド)とポリジメチルシロキサン(シリコーン)を用いて合成されたマルチプロック共重合体であり、シリコーンの種々の特性とアラミドの強靭性とをあわせもつ新しいエラストマーである。本研究では低温重縮合法によりPASを合成し、表面分析、気体透過性及び血液適合性試験を行い、PASの医用材料としての基本性能について検討した。その結果、PAS表面はシリコーン成分で覆われており、このためPASは良好な血液適合性を有していた。酸素透過性はシリコーン含有率53%以上でシリコーンに匹敵する高い値を示し、人工肺用膜に応用可能であると考えられた。また湿式紡糸法にて中空糸が作製できた。PASは成形性に優れ、これらの種々の特筆すべき性質より、新しい医用材料としての応用が期待できる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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