抄録
我々は、手術後の癒着防止を目的として、光架橋性ムコ多糖を用いた癒着防止技術を開発中である。ムコ多糖に光二量化性基を導入し、紫外光照射によりムコ多糖を架橋・ゲル化する技術である。得られた光架橋ムコ多糖フィルムは、光二量化性基の導入率が低いものは、高い水膨潤度を示し、導入率が増加するにつれて水膨潤度の低下を示した。In vitroでの細胞接着性は、水膨潤度の低下にともない非接着性から接着性へと変化した。ラットを用いたIn vivo実験において、光架橋ムコ多糖フィルムは組織非接着性と生分解性を示し、癒着防止材として有用であると考えられた。また、光架橋性ムコ多糖緩衝溶液をIn situで紫外光照謝しゲル化する技術は、内視鏡下手術等への広範囲の応用が可能であると考えられた。