人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
タンパク質ハイブリッド化小口径人工血管の開発
設計概念と短期成績
丹生 智史車谷 元佐藤 伸一神田 圭一岡 隆宏渡辺 幸二國友 哲之輔
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 22 巻 2 号 p. 462-467

詳細
抄録
生分解性材料からなる抗血栓性表面を有し, 最終的には自己の新生内膜で置換されることを目指した小口径人工血管(内径3mm)のプロトタイプを考案した. 人工血管の支持体には超極細ポリエステル繊維を用い, これをゼラチン・ヘパリン複合体からなる「人工内膜」と熱変性アルブミンからなる「人工マトリックス」の二層に被覆した. このタンパク質ハイブリッド化人工血管を雑種成犬3頭の両側頸動脈に計6本置換移植した. 4週間後, 6本中5本(83%)が開存していた. 組織学的には, 吻合部新生内膜は人工内膜層を徐々に吸収しながら良好に接着伸張していた. 中央部に残存する人工内膜上には血栓形成はなく, 4週間後も抗血栓性を維持していることが示唆された. 人工マトリックスもほぼ吸収され人工血管壁の器質化が進んでいた. 4週間の置換移植実験では, 当初の設計に見合った機能が発揮されていることが示された.
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top