人工臓器
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周期的伸縮下のバイオメカニクス
―血管壁細胞の配向特性―
神田 圭一松田 武久岡 隆宏
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1993 年 22 巻 2 号 p. 483-487

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抄録
生体内に存在する細胞は機能発現のために効率の良い配向をなすとされている. 血管壁細胞は常時拍動流による伸縮性ストレスに曝されているためこの力学的ストレスが細胞配向に影響していると考えられる. 本研究では仔牛大動脈より採取した血管平滑筋細胞(SMC)内皮細胞(EC)線維芽細胞(FC)の3種の血管壁細胞を伸縮膜上に平面培養し, 種々の条件で周期的伸縮性ストレス負荷を行い, 細胞の配向反応及び形態変化について定量的に評価した. ストレスを負荷しなかった細胞は不規則に配列したがストレス負荷を行った細胞は経時的にストレス方向に垂直に配向し, その程度はストレスの振幅・振動数が大きいほと顕著であり, ECに比較してSMC・FCで著明であった. 形態変化を示す指標にはストレス負荷の有無に関わらず, 著明な変化は認められなかった. 伸縮性力学的ストレスの負荷は生体外で細胞配向を制御する基本技術となり得ると考えられた.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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