1993 年 22 巻 3 号 p. 1051-1054
透析回路での空気との接触が血液に及ぼす変化を調べた。維持透析患者19例を対象としV側チャンバー部を(A)血液攪拌と空気の混入が強い;(B)攪拌と混入が少ない;(C)攪拌は強いが空気と接触しない;および(D)(A)にチクロピジンを併用、の4条件とした。(A)(B)で透析前後に、(A)(B)(C)(D)で4週後に採血し、凝固因子と血小板凝集能を調べた。透析後に(A)でTAT、vWF活性、PF4、顆粒球エラスターゼ(GF)は増加、FXII、血小板は減少した。(B)では凝固因子の変化は(A)より少なかった。4週後ではAPTT、FXII、ATIII、α2PI、plasminogen、D-dimer、βTG、血小板凝集能およびGEは、(A)より(B)で高かった。(C)では(A)よりFXIIが高く、(D)ではFXIIが(A)より高く、PT、凝集能、GEは低かった。透析中にチャンバー部で血液攪拌や空気との接触が生じ、凝固因子の消費や、白血球、血小板、血管内皮機能の変化をもたらすと考えられた。