1993 年 22 巻 3 号 p. 1044-1050
人工透析の体外循環の血液回路に小型の濾過セルを直接接続し、濾過セルによって得られた濾液を測定装置に送り、Na、K、ClおよびUNなどの生化学的な情報を連続して得る方法を開発した。濾過膜や血液回路での凝固および溶血は何等認めなかった。血液に付加したsoluteの濃度が飽和されて一定値に達するまでの応答時間は90%で約3分であった。定常濃度に達するまでの応答時間300ml/minの血液流量では約6分かかった。
慢性の腎不全の患者の透析では血液量200ml/min、灌流液流量は500ml/minであった。血液循環開始30分後に血清中のNaの濃度が136mmol/l、Kが3.35mmol/l、Clが113.2mmol/l、UNが38mg/dlになった時点で血液透析を始めた。濾過中のUNの濃度は急激に低下し、他のsoluteの濃度はゆっくりと低下している。このように透析患者に監視装置を使用することにより、計画的人工透析および透析時間の短縮が行えるとともに透析患者の安全と負担の軽減が行える。