人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
計画的人工透析と透析時間の短縮に用いられる人工透析患者監視装置に関する研究
山田 明夫木原 一彦大貫 順一壁井 信之
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 22 巻 3 号 p. 1044-1050

詳細
抄録

人工透析の体外循環の血液回路に小型の濾過セルを直接接続し、濾過セルによって得られた濾液を測定装置に送り、Na、K、ClおよびUNなどの生化学的な情報を連続して得る方法を開発した。濾過膜や血液回路での凝固および溶血は何等認めなかった。血液に付加したsoluteの濃度が飽和されて一定値に達するまでの応答時間は90%で約3分であった。定常濃度に達するまでの応答時間300ml/minの血液流量では約6分かかった。
慢性の腎不全の患者の透析では血液量200ml/min、灌流液流量は500ml/minであった。血液循環開始30分後に血清中のNaの濃度が136mmol/l、Kが3.35mmol/l、Clが113.2mmol/l、UNが38mg/dlになった時点で血液透析を始めた。濾過中のUNの濃度は急激に低下し、他のsoluteの濃度はゆっくりと低下している。このように透析患者に監視装置を使用することにより、計画的人工透析および透析時間の短縮が行えるとともに透析患者の安全と負担の軽減が行える。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top