抄録
新たに試作した遠心ポンプの血小板・凝固線溶系に及ぼす影響について検討した. 試作ポンプは, 磁気カップリングを用いたノン・シールタイプのインペラ型遠心ポンプである. 実験は, 血液に対する手術の影響を除外するため2期的に行った. まず国循型補助人工心臓を用いて2週間以上左心バイパスを行い, その後, 遠心ポンプに交換し, 2週間以上駆動した. 抗凝血療法としてシロスタゾール30mg/kg/dayを経口投与した. 血小板に関する指標として血小板数, ADPは, 駆動期間中, 変動しなかった. トロンボキサンB2の値は, 交換前値と比較して有意な差は認めなかった. 凝固線溶系に関する指標としてフィブリノーゲン,アンチトロンビン皿は, 交換前値に比べ変化せず, プロトロンビン時間も延長しなかったFDPは, 交換前値, 遠心ポンプ駆動中とも正常上限内で推移した. 以上より試作ポンプは, 血小板・凝固線溶系に対する影響は, 生体の許容範囲内と考えられる.