人工臓器
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試作遠心ポンプの駆動が血液凝固線溶系に与える影響
―動物実験による2週間の検討―
井上 和重妙中 義之荒木 賢二増澤 徹榊 雅之中谷 武嗣木下 正之赤城 治彦馬場 雄造穴井 博文松尾 義昭高野 久輝
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1993 年 22 巻 3 号 p. 650-653

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抄録
新たに試作した遠心ポンプの血小板・凝固線溶系に及ぼす影響について検討した. 試作ポンプは, 磁気カップリングを用いたノン・シールタイプのインペラ型遠心ポンプである. 実験は, 血液に対する手術の影響を除外するため2期的に行った. まず国循型補助人工心臓を用いて2週間以上左心バイパスを行い, その後, 遠心ポンプに交換し, 2週間以上駆動した. 抗凝血療法としてシロスタゾール30mg/kg/dayを経口投与した. 血小板に関する指標として血小板数, ADPは, 駆動期間中, 変動しなかった. トロンボキサンB2の値は, 交換前値と比較して有意な差は認めなかった. 凝固線溶系に関する指標としてフィブリノーゲン,アンチトロンビン皿は, 交換前値に比べ変化せず, プロトロンビン時間も延長しなかったFDPは, 交換前値, 遠心ポンプ駆動中とも正常上限内で推移した. 以上より試作ポンプは, 血小板・凝固線溶系に対する影響は, 生体の許容範囲内と考えられる.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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