抄録
僧帽弁位にCarbomedics弁を使用して弁置換術を施行した42症例について, 術後約2年以内の遠隔期に体表面(TTE)および経食道心エコー法(TEE)を用い弁機能につき検討した。最大圧較差, 平均圧較差はそれぞれTEEに比しTTEで高値をとる傾向にあったが, 平均圧較差で10mmHgを越える症例はなく, 25mm, 27mmにおいてはTEEとTTE問に正の相関を認めた。有効弁口面積はTTEに比しTEEで大なる傾向がみられ, TEEでは25mm, 2.96cm2, 27mm, 3.24c2, 29mm, 3.64c2と弁サイズのアップとともに増加した。TEEとTTE問に各弁でともに正の相関を認めた。左室流入部における最大流速はほぼ正常範囲内にあり, TEEに比しTTEで速い傾向にあった。人工弁の生理的逆流はカラードプラー法によりTEEのみ検出可能であったが, 逆流面積, 到達距離とも弁サイズに相関しなかった。僧帽弁位に使用したCarbomedics弁の弁機能は満足できるものであり, TEE, TTE両方にて弁機能を評価することが有用と考えられた。