人工臓器
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ヘパリン結合膜型人工肺使用開心術における凝固・線溶・補体系の変動について
堀越 茂樹中野 雅道橋本 和弘江本 秀斗小柳 勝司金澤 俊行黒澤 博身
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1993 年 22 巻 3 号 p. 895-901

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抄録
ヘパリン結合人工肺(Carmeda Maxima®)を開心術5例(C群)に使用し、ガス交換能、血球・凝固・線溶・補体系の変動を経時的に測定し、ヘパリン非結合人工肺の5例(NC群)と比較し、その影響について検討した。その結果、1) PaO2、PaCO2は体外循環中、各々300mmHg以上、30mmHg以下を保ち両群とも充分なガス交換能を示した。2) 血小板はC群の減少が大きかったが有意差はなかった。3) 白血球数はNC群の方がより増加する傾向を認めた。4) 体外循環中にもかかわらず、凝固・線溶系の活性化が認められた。C群の方がより強く活性化される傾向だったが、両群問に有意差は認めなかった。5) 補体系ではC群で補体(C3, C5)の消費が少なく、anaphylatoxin (C3a, C5a)の産生も少ないことが、一部(C3, C5a)で有意差(P<0.05)をもって認められた。以上より、ヘパリン結合人工肺は、従来型の人工肺に比し補体の活性化が少なく、より生体適合性の高い人工肺であると考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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