抄録
われわれは振動流を用いた体外循環が人工肺のガス交換能(酸素加性能)を向上させることを前回の本学会で報告した。本研究では振動流の周波数を10、20、30、40、50Hzと変化させ、周波数の違いによるガス交換能と血行動態について、成山羊を用いた急性動物実験により、比較検討した。体外循環は右房から落差脱血を行い、振動流ポンプ(荏原製VFP type 1)で外部灌流型膜型人工肺を通し下行大動脈送血を行なった。平均灌流量は60ml/min/kgに固定した。実験の結果、動脈血酸素分圧は周波数に依存して高くなり、血漿中に溶存する酸素量が増加する。しかし高周波数駆動では流量・圧振幅が人工肺のコンプライアンスで減弱されるため、人工肺内での血液の撹絆効果が低下し、総酸素移動量は20Hzにピークを持ち、それを越える高周波数駆動の酸素移動量は下がる傾向にあった。従って本システムにおけるVFP type 1の駆動周波数は20Hzが適していると考えられた。