抄録
骨格筋駆動ポンプ(SMPV)による大動脈外カウンターパルセーションは、主に左室の補助効果を目的に研究されてきた。本研究では、このSMPVを右室前面に固定し、右室の補助をも同時に行う方法を考案し、実験的検討によりその可能性を検討した。心収縮期にSMPVが受動的に拡張する力を、直接、外からの圧迫により右室の収縮を補助する力として利用する。今回は、第一段階のみの研究で、実際に右室に密着させないSMPVを作成した。空気駆動型補助心臓ポンプを改良し、骨格筋の収縮でdiaphragmが内方へ移動するようにした。大動脈外カウンターパルセーションを行い、大腿動脈圧、SMPV内圧、SMPV一回拍出量、骨格筋移動距離を測定した。その結果、SMPVは心収縮期に受動的に84mmHgの圧で0.8cm外方に移動した。この圧と外方移動で右室前面を実際に圧迫する可能性を持つことが確認でき、この新しい手術法の可能性はあると考えられる