抄録
IABP挿入時の出血の一番多い原因は10F前後の太いシースとその中に残された0.035インチの細いガイドワイヤーとの間隙が大きく、ガイドワイヤーに沿わせてバルーンカテーテルを進める間に出血が生じる。これを手技的に出血を少なくするには(1)ガイドワイヤーとシースとの間隙を用手的におさえるが、強くおさえるとガイドワイヤーが折れ曲る。(2)ガイドワイヤーに沿わせてバルーンカテーテルをすばやくシースの中に挿入すれば良いが、不慣れの助手を相手とする時に出血する。(3)この出血を防止する為に、すでに弁付シースがある。しかしながら弁部の抵抗が高く、バルーンの破損が生じ得る。以上の事を解消すべく、我々は新たな止血栓付シースを開発したので報告する。開発製品はシースの遠位部にあらかじめ附着した止血栓で、ガイドワイヤーを残して、ダイレーターを抜去した際、すばやく、シースとガイドワイヤーの間隙を瞬時に埋め、止血できる止血栓である