抄録
大野 穣, 小田 勝志, 西源 利治*, 広瀬 邦彦, 小越 章平
開心術時の体外循環中の肝循環動態評価のため動脈血ケトン体比(AKBR)の測定をおこなった. 臨床例33例による検討ではAKBRは体外循環開始直後から低下を始め開始後10分まで低下を続けるが15分からは上昇を始め, 開始後90分には開始前の値との問に有意差を認めなかった. 体外循環開始時にはinitial dropが認められAKBRの低下に関係があると思われた. 雑種成犬16頭による検討では体外循環開始時に門脈血流量の低下を認め, 肝血流低下によりAKBRが低下を来すと考えられた. 以上の事より体外循環開始時には肝臓は虚血状態となっていると考えられた. またAKBRは体外循環中の肝循環動態の指標として有用と思われた.