人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
体外循環中のリムルステスト陽性物質の変動とその影響に関する臨床的検討
永田 昌久塩井 健介加藤 真司間瀬 武則青山 貴彦土岡 弘通
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 23 巻 1 号 p. 259-262

詳細
抄録
開心術にさいしての体外循環によりエンドトキシンないしリムルステスト陽性物質が高値を示すことは知られている。しかし, その原因ならびに生体に及ぼす影響については不明な点が多い。そこで, 成人開心術症例50例を対象として, エンドスペーシー法およびトキシカラー法をもちい術前から術後にかけてのエンドトキシン(Ex), β-D-glucanを測定した。体外循環中を通じてEx値は変動なく正常域にあったが, 充填液のExは8.3+/-10.0pg/mlとたかく正常域以上が12例にみられた。β-D-glucanは体外循環開始とともに増量し, 終了時には212.4+/-85.8pg/mlと最高値をしめした。この値と体外循環時間, 大動脈遮断時間との相関はみなかったが, 洗浄液, 充填液のそれは低値であり, この物質の由来は生体側にあるのではと推察された。また同時に測定したα2プラスミンインヒビター・プラスミン複合体の変動はβ-D-glucanのそれと同じ傾向を示し, なんらかの関係があるのではと推察された。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top