人工臓器
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小型遠心ポンプを使用した体外循環における血液障害程度の測定
田口 眞一四津 良平上田 敏彦森 厚夫相澤 猛川田 志明
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1994 年 23 巻 1 号 p. 276-280

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抄録
新しく開発された日機装遠心型血液ポンプHMS-15は、インペラー径50mm、プライミング量25mlと、これまで開発された遠心ポンプでは最小のものである。既に、動物実験で行った溶血試験では、他の遠心ポンプと同等または以下の溶血で機能することが確認できている。今回は、臨床で開心術の体外循環の駆動ポンプとして使用した際、血液障害の起こる程度を検討した。HMS-15を使用した9例を対象に、ローラーポンプを使用した10例を対照群とし、採血データから比較検討した。体外循環中の血漿ヘモグロビン、LDH、顆粒球エラスターゼの増加、ハプトグロビン、α1-アンチトリプシン、血小板数の減少、また、これらの体外循環後の術前値への回復は、二群間でほとんど差のない変動を示した。HMS-15の血液障害程度は従来のローラーポンプと差がなく、このポンプは小型ではあるが、臨床使用に充分耐えうると考えられる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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