人工臓器
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ヘパリンコーティング人工心肺システムの有用性に関する検討
増田 宏豊平 均森山 由紀則西元寺 秀明下川 新二平 明
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1994 年 23 巻 1 号 p. 309-312

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抄録
ヘパリンコーティング人工心肺システムを使用しヘパリンの全身投与を減量した体外循環を行った。同システム使用群(H群n=7)では初回ヘパリン量を2m/kgとし体外循環(CPB)60分で1mg/kgを追加投与した。非使用群(NH群n=7)では初回3mg/kgのみとした。比較検討はCPB60分までで行った。CPBによる凝固因子の活性化にはヘパリン減量の影響を認めなかった。血小板数はCPB15分でH群が有意に多く(53±1vs.47±1%)、βートロンボグロブリンの上昇及び凝集能の低下も少ない傾向にあった。補体系でC3aの上昇はH群が有意に低かった(15分229±6vs.896±119%、60分333±13vs.930±70%)。赤血球変形能の指標となる赤血球ろ過率はH群の方が有意に高かった(15分98±3vs.80±4%)。以上よりH群ではヘパリン投与量を減らしても良好な効果が得られると考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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