人工臓器
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全回路ヘパリン化処理ECMOシステムの実験的検討
―heparinless ECMOの可能性について―
正井 崇史中埜 粛白倉 良太島崎 靖久宮本 裕治松若 良介佐藤 尚司矢倉 明彦松田 暉松本 真哉萩原 和彦深沢 弘道
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1994 年 23 巻 1 号 p. 313-316

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抄録
全回路にヘパリン(Hep)化処理を施したECMOシステムを用いて、Hep非投与下でのECMOを行い、性能及び抗血栓性に関する耐久性を検討した。装置は遠心ポンプ、2.0m2ホロファイバー内部潅流型膜型肺、送脱血管、チューブより構成された閉鎖式システムで、血液接触面すべてにHep共有結合処理が行われている。雑種成犬12頭を用いて、流量500ml/minの極めて血栓を生じやすい条件で、12時間のV-V ECMOを行った。6頭でHep化処理システムを用いて全身Hep投与を行わず、他の6頭はHep化処理をしていない装置を用い全身Hep投与を行った。ECMO中の人工肺ガス交換能(酸素添加能、炭酸ガス除去能)、血小板数、血小板機能(凝集能、粘着能)は、両群問で有意差を認めなかった。ECMO後の人工肺、遠心ポンプの肉眼及び走査電顕所見では、両群とも血栓の付着をほとんど認めなかった。500ml/minの低流量下でも、本システムは良好な抗血栓性を示し、長時間のHep非投与ECMOの可能性が示唆された。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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