人工臓器
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合成高分子透析膜と血漿bradykinin
―AN-69, PAN-DX, polysulfoneの比較臨床試験―
若狭 幹雄秋澤 忠男越川 昭三
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1994 年 23 巻 2 号 p. 395-399

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抄録
アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)と透析(HD)用膜素材のbradykinin (BK)産生に及ぼす影響を明らかにする目的で、3種のHD膜を用い、ACEI投与群、非投与群で透析中のBKの変化を比較検討した。
ACEIを服用している定期HD患者6例及び非服用患者6例を対象に、AN-69(AN)、PAN-DX(DX)、polysulfone(PS)膜透析器を使用したHDを無作為な順序で3回ずつ施行し、最終回HD時にHD開始前、開始後5分、10分の透析器入口(A)及び出口(V)側血漿BK濃度を測定した。BKは、AN使用では開始後5分の、DXでは10分のV側で、各時点のA側に比し有意に上昇したが、PS使用下では、有意な変化は認めなかった。これらBKの変化にACEI服用の影響はみられなかった。これらの成績からACEI服用の有無にかかわらず、HD用膜素材が、BK産生に関与する可能性が示された。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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