抄録
新開発のポリスルホン膜血液濾過器FS-104の臨床評価を行った。37例の透析期腎不全患者を対象に、体重の約30%を目標補充液量として計75回の血液濾過(HF)を後希釈法で施行した。BUN、Cr、UA、β2Mの平均除去率は42.5、45.6、57.3、73.5%で、濾過液中へのβ2M排泄量は180mgに達した。これらの溶質のふるい係数はHF中有意に変化せず、限外濾過圧は3時間まで有意に上昇したものの濾過速度は不変であった。治療中の白血球減少は、開始後15分でも前値の約80%と軽微な変化にとどまり、濾過器入口血漿C3a濃度には、治療中前値に比し有意の変化はみられなかった。C3a産生についても濾過器出口/入口比で約4.0にとどまった。また試験中、本濾過器に起因する副作用は認めなかった。以上より、FS-104は小分子量のみならず低分子タンパク領域の貯留物質についても高い除去を示し、優れた生体適合性を有する濾過器と考えられる。