抄録
ホローファイバーモジュールのキャピラリー外容積に, 浮遊培養によって迅速形成させた肝細胞スフェロイドを1.0×107cells/cm3程度の細胞密度でコラーゲンゲルと共に固定化するタイプのハイブリッド型人工肝臓モジュールを製作した. 牛胎児血清と高濃度ホルモンを添加した合成培地や, 100%の成牛血清で10日間にわたり灌流培養を行い, アルブミン分泌能・アンモニア除去能・尿素合成能の発現などを測定した. その結果, 合成培地中では, 既往のモジュールよりも著しく良好な発現は見られなかったが, 全体としてほぼ同程度の発現を示した. また, 100%血清中でも, アルブミン分泌能以外の機能は, 合成培地中とほぼ同程度の発現を示した. よって, 本モジュールタイプは, 実際の臨床応用での機能発現において安定性が高いことが示唆された.