抄録
成熟ラット肝細胞は、無血清培地中での5日間の培養で、ポリウレタンフオーム(PUF)孔内でスフェロイドを形成するが、その後100%ラット血漿中に移し培養を続けると、16日目でその内部構造が崩壊した。しかし、血漿中にepidermal growth factor (EGF, 50μg/l)、インスリン(10mg/l)、グルカゴン(10-8M)、デキサメサゾン(10-8M)、アプロチニン(100KIU/ml)を添加することにより、この崩壊は抑制され、スフェロイドの構造は培養20日間にわたる静置培養で維持された。またスフェロイドの尿素合成活性も培養20日間にわたって良好に維持された。さらに多細管型PUF充填層培養においても、ホルモン添加血漿中で尿素合成活性が維持され、その値は無血清培地中よりも高かった。