抄録
空気圧駆動の完全置換型人工心臓(TAH)を体内に埋め込む場合の最も大きな問題は, サックの拍動状態が視認できないため, 手動による駆動空気圧の調整が困難となることである. この点, 著者らがこれまで補助人工心臓において開発してきた最適動作点制御法に基づく一回拍出量の定値制御系では, サックの拍動状態を視認する必要がない. なぜなら, この方法では人工心臓の収縮時間と拍出流速に関する情報だけを用いて駆動空気圧の自動調整が可能であるからである. そこで本研究では, 空気圧駆動型TAHの体内埋め込み化を目的として, 一回拍出量の定値制御を必要とする阿部らが提案した1/R制御法に基づく東大型TAHの駆動システムに, 新たに最適動作点制御法を導入し, 動物実験によってその動作の有効性と問題点を評価した.