人工臓器
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平滑筋細胞の収縮性を利用した高密度・高配向コラーゲン管状組織体の形成と超小口径人工血管への応用の可能性
神田 圭一岡 隆宏松田 武久
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1994 年 23 巻 3 号 p. 585-589

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抄録
微小循環系または低圧系における超小口径人工血管に応用出来る可能性のある柔軟な高密度管状組織体を、I型コラーゲンゲルと血管平滑筋細胞(SMC)を用いて形成した。ガラス管、シリコーンチューブとステルス棒を用いて作製した外形7mm、内径1mm、長さ7cmの円筒型鋳型に、仔牛皮膚由来の酸可溶性I型コラーゲン溶液と仔牛大動脈由来のSMC浮遊液を4℃で混合した溜液(コラーゲン濃度0.25%, SMC密度2×106cells/ml)を注入し、37℃でゲル化させることにより円筒状のSMC埋植、イブリッド組織体を作製した。この内腔に外径0.5mmのステルス棒を挿入した後培養液中に浮遊させ、埋植したSMCによる自己収縮を誘導した。約10日間でゲルは収縮し、内径0.5mm・長さ約4cmの管状高密度組織体を構成した。さらに組織体を1%グルタルアルデヒド溶液で架橋し、強度を増加させた。形態学的評価では高密度に集積し円周方向に配向するコラーゲン線維束を認めた。生体組織由来成分のみから成る管状組織体は高い生体適合性が期待できる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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