人工臓器
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持続治療型人工腎における抗凝固療法の問題点
水口 潤斉藤 明川島 周杉浦 清史高木 豊巳宮崎 哲夫内藤 秀宗峰島 三千男寺岡 慧太田 和夫
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1994 年 23 巻 3 号 p. 618-621

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抄録

持続治療法では、従来の間欠的治療法に比べ凝固線溶系への影響が大きいと思われ、持続治療を行った場合の抗凝固療法の問題点について検討した。安定期の慢性血液透析患者を対象とし、濾過量5lまたは10lの持続治療を行った。抗凝固剤としてヘパリン500~750単位/時間を使用し、フィルター寿命および凝固・線溶系について1~8週間の観察を行った。フィルターの耐用日数は2~11日であり、4週目までは約1週間の連続使用が可能であったが、その後のフィルター耐用日数は有意に短縮し、8周後には2~3日となった。またそれにともない血小板数およびAT-IIIの減少、TATおよびD-dimerの増加が観察され、凝固線溶系が活性化されていることが予測された。今後、長期にわたる臨床応用のためには、さらに抗血栓性にすぐれたフィルターの実用化や、抗血小板剤の開発が必要であると考える。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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