人工臓器
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光ラジカル発生基を利用したデバイス表面へのハイドロゲルの固定化
高塚 旨寛中山 泰秀松田 武久
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1994 年 23 巻 3 号 p. 665-670

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抄録

心臓・血管系の人工臓器、およびその周辺器具にハイドロゲルを固定化し生体適合性を付与する技術を開発することを目的として、光化学反応を用いた新しい表面修飾法の開発を行なった。光反応性基として、光照射により高反応性のラジカル対に解離するジチオカルバミン酸基を用いた。ジチオカルバミン酸基を導入した光反応性高分子を合成し、その水溶液を基材上に塗布し、光照射するとハイドロゲルが形成されると同時に基材表面へ固定化された。光反応性高分子を塗布する際、ウロキナーゼ、あるいはヘパリンを混合することによりゲル内に包埋させることが可能であった。ヘパリンを包埋化するとin vitroにおいて血小板の粘着が抑制され、全血凝固時間が延長した。またウロキナーゼを包埋化するとフィブリン膜の溶解が観察された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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