人工臓器
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ゼラチン接着剤の有用性の研究
清谷 哲也寺町 政美滝本 行延奥村 典仁中村 達雄清水 慶彦
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1994 年 23 巻 3 号 p. 671-674

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抄録

ゼヲチン糊の有用性について検討を行った。まずラットの背部に作成した長さ2cmの切開創を、それぞれゼラチン糊(GRF®glue,E.H.S.,フランス)、フィブリン糊で接着・閉鎖した群、および縫合した群の3群を作成した。経時的に創の抗張力の測定と、組織学的な評価を行った。GRF群の抗張力は3日後までは他の2群よりも高かったが7日以降は他の2群ほど増加しなかった。組織学的には、GRF群の炎症細胞の浸潤は高度であったが、周囲組織の変性・壊死は認めなかった。フィブリン糊が7日以内に消失したのに対し、GRF glueは3週後も6例中3例での残存を認めた。つぎにウサギで肺のエアリークの閉鎖及び肝・腎よりの出血の止血に対するGRF glueの効果を検討した。エアリークの閉鎖には、全例成功した。少量の出血に対しての止血効果を認めたものの、持続的な動脈性の出血に対する止血効果は不十分であった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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