人工臓器
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重合性脂質を利用したヘモグロビン小胞体投与による生化学的影響
守沢 和也徳山 悟赤間 和博粟井 浩二佐藤 征
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1994 年 23 巻 3 号 p. 858-863

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抄録

濃厚ヘモグロビン(Hb)を重合性脂質膜で被覆したHb小胞体(ARC)を、SD系雄ラット(6週齢)の尾静脈より投与し(4,000mg/kg)、投与後、血液学的検査および各種の血液生化学的検査を行った。また、肝臓, 腎臓, 脾臓, などの各臓器の病理組織学的検査を行ない、血球系並びに各臓器に与える影響を評価した。
血液学的検査および血液生化学検査において、投与直後に軽度の変化が認められた検査項目があったが、これらの変化は固形分大量投与に起因する-過性の生体反応であると考えられた。病理組織学的観察において、壊死など特に臓器障害を示す像は認められなかった。投与直後から肝臓や脾臓などの細網内皮系細胞が好酸性物質を貪食した像が認められた。これら被貪食性物質は、投与後徐々に染色性が好酸性から好塩基性に変化し、小滴化する傾向が観察された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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