人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
胸部大動脈置換術における2種類のコラーゲン処理woven Dacron人工血管の臨床的検討
中村 雅則数井 暉久渡辺 俊明栗本 義彦田中 利明山田 修小松 作蔵
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 24 巻 1 号 p. 125-128

詳細
抄録
2種類のウシコラーゲン被覆人工血管を65例(Hemashield:HS58例, Hemaguard:HG7例)の胸部大動脈置換術に使用した. うち, 早期死5例(HS4, HG1), 術後3週間以内の感染症, 乳康胸症例を除いたHS45例, HG6例を術後臨床成績の対象とした. 再建部位は, HSで上行10例, 部分弓部2例, 全弓部23例, 下行7例, 胸腹部3例でcomposite graft置換は13例に行った. HGは全弓部3例(composite graft置換1例), 下行1例, 胸腹部2例であった. 術後発熱, CRP, WBCの再上昇は両グラフトに起こり, 差を認めなかった. HG群で術後急性期の浸出液が多い傾向であった. 両グラフトともに縫合に関する操作性は良好であり, 長時間体外循環でも出血は見られず, 心肺終了後の出血量にも差を認めなかった. 両グラフトともに遠隔期の拡大等の人工血管に関連した合併症は見あたらず, 胸部大動脈置換術には有用な人工血管と考えられた.
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top