抄録
内皮細胞の培養基材としてポリアミングラフト共重合体を、タンパク質吸着と関連づけて詳細に検討した。この共重合体表面上にウシ胎児血清(FCS)から吸着するフィプロネクチン(FN)、ビトロネクチン(VN)の吸着量を酵素免疫測定法(EHSA法)により定量したところ、コポリマー中のアミノ基含量の増加に従いFN、VNの吸着量が増加した。またFN、梱のVroman効果を評価したところ、FNにはVroman効果が現れ、時間経過に従い吸着量が減少したが、コポリマー中のアミノ基含量の増加に従いFNの脱着・交換は抑制され、コポリマーとFNの相互作用が強くなっていることが示唆された。さらにこのVroman効果の結果をもとにコポリマー表面上にFCSをプレコートし、そのプレコート時間を変化させ、内皮細胞の接着率、伸展率を評価したところ、このコポリマー上での内皮細胞の接着にはFNが、伸展にはVNがより効いていることが示唆された。