抄録
人工材料と生体細胞間で機能するBiointerface材料の開発を目的として、ゼラチンにアルキル鎖長の比較的長い脂肪酸基を導入した。水溶媒系の温和な条件下で、アルキル鎖長(Hexanovl, Decanoyl, Myristoyl)及び置換率の異なる9種のアシル化ゼラチンを合成することに成功した。試料ゲルの構造安定性を融点測定(落球法)により評価した。置換率27.5%のMyristoyl化ゼラチンゲルでは、未修飾ゼラチンゲルd6%)の31.4℃に対して、52.5℃という高融点が観測された。また、試料膜およびゲルの界面特性を接触角測定により評価した。導入した長鎖脂肪酸基の配向は、疎水的なフイルみ表面に対する親和性の向上に寄与しており、かつ、ゲルの最表面は親水性を示した。アシノレ化によって構造安定性の向上と両親媒性の付与が見られ、Biointerface材料として良好に機能することが期待される。