抄録
アルカリ可溶化コラーゲンを紡糸後、綿状化し、更に熱架橋を加えた止血材を作成し、その止血効果と組織反応を検討した。架橋条件として、130℃、6時間の熱架橋を行ったもの(熱架橋止血材)と、140℃、5時間の熱架橋後に25kGyのγ線照射を加えたもの(γ線止血材)との2種類を検討した。対照として、市販のコラーゲン止血材であるアビテン®と、酵素可溶化コラーゲンを原料とした綿状止血材(酵素止血材)を用いて比較した。止血効果は、酵素止血材、γ線止血材、熱架橋止血材、アビテン®の順に良好で、特にγ線止血材は、酵素止血材に匹敵する止血効果を示し、アビテン®より有意に良好であった。組織反応の検討でも、綿状コラーゲン止血材、特にγ線止血材は、異物反応を惹起せず、3週後にはほとんど吸収されていた。以上の結果から、アルカリ可溶化コラーゲン綿状止血材は適当な架橋を加えることで、今後臨床応用可能な局所吸収性止血材になり得ると考えられた。