人工臓器
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開心術後補助循環施行症例における冠血行再建の重要性
許 俊鋭上田 恵介朝野 晴彦木村 壮介見目 恭一関口 敦横手 祐二尾本 良三
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1995 年 24 巻 2 号 p. 271-276

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抄録

冠血行再建を要した補助循環症例を検討した。症例1(28才男)はBentall手術後左冠動脈口へ解離が進展し大伏在静脈グラフト(SVG)バイパスを置いた。LVAS補助を219時間施行した。症例2(44才女)はBentall類似手術症例でSVGを用いて両側冠血行再建を行った。手術45日後に左冠動脈領域の高度虚血が生じためSVGバイパスを置き、静・動脈バイパス(VAB)+左心バイパス補助を86時間施行した。症例3(1才男)は単冠動脈(左2型a)を合併したファロー四徴症で右室流出路切開時に右冠動脈を損傷した。SVGを用いて再建し、VAB補助を45時間施行した。平均117時間の補助後に全例離脱に成功し、平均33ヶ月の経過観察で順調である。体外循環離脱困難例の中で、原因を冠血行障害と診断でき、冠血行再建に成功した症例の補助循環治療成績は良好である。術中、冠血行障害が疑われた症例は積極的に冠血行再建を試みるべきである。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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