抄録
透析患者で著明に血清濃度が増加している3-カルボキシ-4メチル-5-プロピル-2-フランプロピオン酸(CMPF)はアルブミンと強く結合しており、従来の透析膜を用いたHDでは全く除去されず、血中に蓄積することになる。そこで大孔径膜を用いたHDによる血清CMPF濃度への影響を検討した。エリスロポエチンを投与していないHt27%以下の患者で再生セルロース膜を使用していた8例に、大孔径膜(BK-F; 東レ)を用いたHDを4ヵ月間行い、CMPF濃度、貧血に対する影響を検討した。その結果、BK-Fを用いたHDを4ヵ月間行うことにより、血清CMPF濃度は約50%減少した。これは主として、漏出したアルブミンと共にCMPFが除去されたためと考えられた。また、BK-Fを用いたHDにより貧血の改善が認められた。