抄録
最近、血管内の血栓形成には血液中の活性酸素が関与していることが指摘されている。また、セルローズ中空糸膜(CE)による血液透析では抗凝固剤が必要であるが、エチレン/ビニルアルコール系共重合体(EVAL)のそれでは無凝固剤透析(NAHD)が可能であることが確認されている。したがって、透析膜の素材によって、患者の血液中の活性酸素の挙動が異なることが予想された。そこで、CE. EVAL(NAHD.抗凝固剤使用)の3群(1群:3名)について、透析直前、開始後、5.60.120分に採血し、それらの血清中の活性酸素を5.5-ジメチル-1-ピロリン-N-オキシドによるスピントラッピング法にて測定した。CE膜では透析開始後、時間経過とともに、活性酸素濃度は著明に増加した。一方、EVAL膜では抗凝固剤の使用の有無に関係なく、その濃度はほぼ一定であった。