抄録
陰性荷電膜としてpolyacrylonitrile (AN69)膜を、陽性荷電膜としてhemophan (HE)膜を用い、陽性荷電薬剤であるnafamostat mesilate、cimetidine、procainamide、diltiazem、陰性荷電薬剤であるheparin、furosemide、cefotaxime、carbazochromの水溶液中と血清中での吸着性の違いを検討した。また血清中での透析膜荷電性を、methylene blueとorange IIを用いて観察した。AN69膜における薬剤吸着性は、水溶液中に比べ血清中においてcimetidineとdiltiazemの吸着性低下を認めた。HE膜では、水溶液中に比べ血清中においてcarbazochromの吸着性の低下を認めた。AN69膜の荷電性は血清中でも水溶液中と同等の陰性荷電を示したが、HE膜では血清中において荷電性の低下が観察された。薬剤により水溶液中と血清中の透析膜への吸着性に差がみられ、荷電性透析膜の血清中における荷電性の低下や、薬剤の蛋白結合による荷電性の変化が原因していると考えられた。