人工臓器
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荷電性薬剤の血液透析膜への吸着特性の検討
中西 裕治稲垣 王子日和佐 一弘平岡 敬介高光 義博
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1996 年 25 巻 1 号 p. 113-116

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抄録
陰性荷電膜としてpolyacrylonitrile (AN69)膜を、陽性荷電膜としてhemophan (HE)膜を用い、陽性荷電薬剤であるnafamostat mesilate、cimetidine、procainamide、diltiazem、陰性荷電薬剤であるheparin、furosemide、cefotaxime、carbazochromの水溶液中と血清中での吸着性の違いを検討した。また血清中での透析膜荷電性を、methylene blueとorange IIを用いて観察した。AN69膜における薬剤吸着性は、水溶液中に比べ血清中においてcimetidineとdiltiazemの吸着性低下を認めた。HE膜では、水溶液中に比べ血清中においてcarbazochromの吸着性の低下を認めた。AN69膜の荷電性は血清中でも水溶液中と同等の陰性荷電を示したが、HE膜では血清中において荷電性の低下が観察された。薬剤により水溶液中と血清中の透析膜への吸着性に差がみられ、荷電性透析膜の血清中における荷電性の低下や、薬剤の蛋白結合による荷電性の変化が原因していると考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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