人工臓器
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骨格筋myoblastを用いたハイブリッド人工組織の開発
岡野 高久岡隆 宏松田 武久
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1996 年 25 巻 1 号 p. 197-203

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抄録
本研究では、骨格筋筋芽細胞(Myoblast: Mb)をI型コラーゲンゲル中に三次元的に埋植した後、Mbの分化を誘導し、円盤状、ポリエステルメッシュ挿入シート状及び管状ハイブリッド人工筋組織の作製を試みた。ラット胎児及び新生児の大腿筋satellite cellの初代培養を試みたが線維芽細胞の混入が避けられず、細胞選別・培養法に改良を必要とした。一方、I型コラーゲンと骨格筋Mbの樹立細胞株(C2C12 mouse cell line)の冷混合液を鋳型に注入し、37℃で加温しゲルを作製した。シート状のものには作製時にポリエステルメッシュをゲル内に挿入した。管状体は内筒と外筒を有する鋳型でゲルを作製し、外筒を抜去して培養した。20%FCS-DMEM中で培養した後、2% horse serum-DMEMに変更しMbの分化を誘導した。いずれのモデルもゲルは経時的に収縮し透明から不透明なハイブリッド組織体となった。14日後Mbは連鎖、融合、多核化して筋線維を形成し経時的に高密度高配向化した。心臓血管外科領域の病変部補填組織としての可能性を議論した。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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