人工臓器
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体内埋込み型人工心臓用ベアリングの開発
岡本 英治吉田 俊信藤吉 雅幸三田村 好矩三上 智久
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1996 年 25 巻 2 号 p. 255-259

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抄録

体内埋込み型人工心臓用に, 完全水蒸気飽和環境の下, 途中潤滑剤の注油なしに2年間連続稼働可能なボールベアリングを開発した. ベアリングは, 内輪, 外輪, ボール, 保持器をそれぞれステンレス鋼で製作し, 固体潤滑として内輪, 外輪, 保持器の各ボール接触面をPTFEでコーティングした. ベアリングは, φ37mm×φ30mm×4mm(外径×内径×厚み)とφ32mm×φ25mm×φ4mmの2種類製作した. 開発したベアリング(φ37mm×φ30mm×4mm)を耐久試験機に取り付け, 実際のモータ駆動補助人工心臓の駆動を模擬し, 加湿器により完全水蒸気飽和状態を作り, 平均動脈圧100mmHgに相当する負荷6.5kgfをベアリング軸方向に加え, モータ回転数1040rpm, 正反転切り換え頻度100回/分にて駆動し, ベアリングが発生する振動と音を連続的に記録した. 耐久試験は約200日を経過しなお現在継続中で, またベアリング発生振動成分もほぼ一定であり, この間ベアリングが安定に稼働しており, 体内埋込み型人工心臓用ベアリングとして良好な耐久性を有することが示された.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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