人工臓器
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SJM弁による再僧帽弁手術の遠隔成績
深田 穣治数井 暉久田宮 幸彦森下 清文安倍 十三夫小松 作蔵
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1996 年 25 巻 2 号 p. 307-310

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抄録
St, Jude Medical (以下SJM)弁は現在最も信頼度の高い人工弁であるが、縫着輪が貧弱で再弁手術例のように弁輪部の硬化が著しい症例では弁輪との密着性に疑問が残る。最近10年間にSJM弁を用いて僧帽弁単弁置換術(以下MVR)を施行した104例中、僧帽弁修復術後MVR36例(I群)と再MVR44例(II群)の計80例を対象とし、初回僧帽弁手術としてのMVR24例(III群)と遠隔成績を比較検討した。溶血がI群1例(2.78%/pt-yr)、II群1例(2.27%/pt-yr)、thromboembolismがI群1例(1.94%/pt-yr)、anticoagulant-related hemorrhageがII群1例(0.76%/pt-yr)にみられ、structural deterioration、thrombosed valve、prosthetic valve endocarditisは認められなかった。合併症の非発症率、実測生存率は7年でそれぞれ80.2%、80.5%であり、III群との間に有意差を認めなかった。SJM弁による再僧帽弁手術と溶血発生の関連性については、今後の慎重な検討を要するが、他の遠隔成績は初回手術と同様に満足すべきものであった。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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