抄録
336例のセルセーバー使用経験から開心術症例と腹部大動脈瘤手術症例で効果を比較検討した。対象は開心術272例(H群)、腹部大動脈瘤手術64例(A群)。自己血液の回収はHaemonetics社製Cell Saver4を用い、術野吸引血とガーゼ洗浄液の吸引回収を行った。開心術では人工心肺使用中はセルセーバーを使用せず人工心肺回路のサッカーを使用した。セルセーバーの吸引量、回収血量、回収血総Hb量、回収血Hb濃度はH群の方がA群より有意に低値であった。回収率はH群の方が高かったが、回収血中Hb量はH群で低く、H群では吸引量が少量で充分濃縮できずに返血したためと思われた。無輸血率は両群間に差はなかったがどちらも高率であった。