抄録
PHEMA-PSt-PHEMA ABA型ブロック共重合体(HSB)表面に粘着した膜骨格(MS)解離血小板の超微形態を走査型(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて解析した。そのTEM像は画像処理解析装置を用いて定量的に評価した。血小板膜貫通性糖蛋白質(GPs)からのMSの解離はジブカインを用いて行った。対照群としてPSt、PHEMA-PStランダム共重合体(HSR)表面を用いた。PSt、HSR、HSB表面に粘着したMS解離血小板はいずれの場合も球状形を呈していた。そして、これらの材料表面に粘着した血小板の1μm2当たりの貯蔵顆粒数はいずれの場合も正常血小板のそれと比べて有意差を示さなかった。本実験結果及び既報のMS非解離血小板(正常血小板)の応答結果との対比から、HSB表面以外のPSt、HSR表面はGPsからMSへの刺激を介して血小板の超微形態変化を惹起することが示唆された。〔略語:PHEMA,ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート);PSt,ポリスチレン〕